この節では現在 Linux でサポートされている CD-ROM ドライバやインターフェイス を列挙します。ここに挙げた情報は、これを書いている時点での最新の安定版 カーネル(バージョン 2.2.4)に基づいています。
この情報は Intel 版の Linux のみに有効です。情報の大部分は他のプロセッ サ用の Linux にも適用できると思います。
ATAPI (ATA Packet Interface) は大容量デバイスを 制御するためのプロトコルです。ATAPI は ATA (AT Attachment) インターフェイス 上に構築されています。ATA インターフェイスは、ハードディスク用に開発さ れた IDE インターフェイスの公式な ANSI 規格名です。ATAPI は普通、 ハードディスク、CD-ROM ドライブ、テープドライブ等のデバイスに使われま す。現在最も使われているタイプのインターフェイスであり、高価なコントローラ やケーブルを使わなくても SCSI とほぼ同等の機能を提供します。
Linux カーネルには、ATAPI 準拠の CD-ROM ドライブで使えるはずのデバイス ドライバが付属しています。ATAPI 準拠のドライブを出荷しているベンダは Aztech, Mitsumi, NEC, Sony, Creative Labs, Vertos 等です。読者の皆さん の CD-ROM ドライブが最近買ったものであれば(特に 4 倍速以上のドライブで あれば)、そのドライブはほぼ確実に IDE/ATAPI 準拠です。
Linux には IDE SCSI エミュレーションカーネルドライバも付属 しています。このドライバは IDE/ATAPI デバイスをソフトウェア的に SCSI デバイスに見せかけるものであり、ネイティブの ATAPI デバイスドライバの 代わりにSCSI のデバイスドライバを使えるようになります。この機能は、 ネイティブのデバイスドライバが書かれていない ATAPI デバイス(例えば ATAPI の PD-CD ドライブや CD-R ドライブ)を使う際に役立ちます。この エミュレーション機能を適切な SCSI デバイスドライバと組み合わせて使うこ とができます。
SCSI (Small Computer Systems Interface) は、CD-ROM ドライブの インターフェイスとしては一般的なものです。この特長としては転送速度が速 いこと、複数のドライブが 1 つのインターフェイスに接続できること、多く の種類のコンピュータで共通に使われていること等です。欠点はコントローラ カードやケーブルが比較的高価なことです。
どんな SCSI の CD-ROM ドライブでも、ブロックサイズが 512 または 2048 バイトであれば Linux で使えるはずです。すなわち、街で売っているほとん どの CD-ROM ドライブが使用可能なのです。(訳注: ドライブによっては SCSI カードとの相性問題が起きるようです。ソースコードに手を加える必要がある 場合があります。)
これに加えてサポートされている SCSI コントローラカードが必要です。詳し くは SCSI HOWTO を参照してください(訳注: 日本語版は http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/SCSI-HOWTO.html)。
CD-ROM ドライブの一部にはインターフェイスを変更した独自のコントローラを 使っており、SCSI と完全には互換でないものがある(例えば他の SCSI デバイ スをバスに接続することを保証していない等)ので注意してください。このよ うなものは Linux で動作しないことが多いので注意してください。
メーカー独自のインターフェイスを用いた CD-ROM ドライブもあり ます。サウンドカードにインターフェイスがついている場合もよくあります。 サウンドカードについているのと同じ単純なインターフェイスカードも売られ ています。このような CD-ROM ドライブはSCSI ドライブよりも安価かつ小型 であることが多いようです。欠点は標準化されていないことと拡張性が低いこ とでしょう。
このようなインターフェイスが誤って IDE インターフェイスと呼ばれること が時々あります。これらは IDE ハードディスクと同様に PC/AT のバスに依存 した単純なインターフェイスを使っているからです。さらに話を紛らわしくし ていることに、Creative Lab など大部分のメーカーは異なる型のサウンドカー ドを色々出荷しており、独自インターフェイス、SCSI, ATAPI のインターフェ イスが混在しています。
以下に列挙した CD-ROM ドライブ(独自のインターフェイスを持ったもの)が Linux で使用可能です。新たに追加されるデバイス用のドライバ(訳注:ディ スクドライブを扱うためのソフトウェア。Linux ではカーネルに内蔵されてい る)は開発バージョンの最新のカーネルに含まれているか、またはカーネルに 対するパッチとして入手できます。 カーネルに対するパッチは大抵 ftp://metalab.unc.edu/pub/Linux/kernel/patches/cdrom/ で入手で きるでしょう。最新の情報については、配布されているカーネルに入っている 文書も読んでみましょう。このような文書は普通、 /usr/src/linux/Documentation/cdrom にインストールされてい ます。
独自インターフェイスを持った CD-ROM ドライブ メーカー モデル ドライバ 注 ------ ----- ------------- -------- Panasonic CR-521 sbpcd 注 1 Panasonic CR-522 sbpcd 注 1 Panasonic CR-523 sbpcd 注 1 Panasonic CR-562 sbpcd 注 1 Panasonic CR-563 sbpcd 注 1 Creative Labs CD-200 sbpcd IBM External ISA sbpcd 注 2 Longshine LCS-7260 sbpcd Teac CD-55A sbpcd Sony CDU-31A cdu31a Sony CDU-33A cdu31a Sony CDU-535 sonycd535 注 3 Sony CDU-531 sonycd535 Aztech CDA268-01A aztcd 注 4 Orchid CDS-3110 aztcd Okano/Wearnes CDD110 aztcd Conrad TXC aztcd CyCDROM CR520ie aztcd CyCDROM CR940ie aztcd GoldStar R420 gscd 注 5 Philips/LMS CM206 cm206 注 6 Mitsumi CRMC LU005S mcd/mcdx 注 7, 8 Mitsumi FX001 mcd/mcdx 注 7, 8 Optics Storage Dolphin 8000AT optcd Lasermate CR328A optcd Sanyo H94A sjcd various various isp16 注 9
注:
読者の皆さんがお使いのカーネルがここで挙げている CD-ROM ドライブをサポー トしていない場合、多分カーネルのバージョンを上げる必要があります。
読者の皆さんがお使いの CD-ROM ドライブがここで挙げている型式でない場合、 そして特に最近買った 4 倍速以上のドライブである場合には、前の章で述べ た IDE/ATAPI インターフェイスを使っていると思われます。 Linux で CD-ROM を使う人が最もよく起こす間違いの 1 つは、 SoundBlaster に接続している CD-ROM には全て SBPCD ドライバを使わなけれ ばならないと思い込んでしまうことです。 Creative Labs や他のベンダ 大部分は、現在ではもはや独自インターフェイスの CD-ROM ドライブを販売し ておらず、標準の ATAPI/IDE インターフェイスに従っています。
外部記録デバイス(CD-ROM ドライブを含む)には PC のパラレルポートに接続 するようなものがあります。多くの場合、このようなデバイスは内部的に IDE インターフェイスを使っており、内部 IDE バスを PC のパラレルポートに接 続するアダプタと組み合わせて使われます。
Linux にはパラレルポート用 IDE ドライバがあります。このドライバはほと んどのパラレルポート用デバイスをサポートしています。本文書の執筆時点で は、このドライバは以下のベンダが出しているデバイスをサポートしています: ATEN, Avatar, DataStor, Fidelity International Technology, Freecom, Hewlett-Packard, Imation, KT Technology, KingByte Information Corp., Maxell, MicroSolutions, OnSpec, Shuttle Technology, SyQuest, ValuStore
より詳しい情報は http://www.torque.net/parport/ にあります。
標準のカーネルに含まれているデバイスドライバと差し替えて使用できる、 Panasonic/Matsushita CR-56x ドライブ用のカーネルドライバがあります。 これは Zoltan Vorosbaranyi さんが書いたものであり、 ftp://ftp.honlap.net/pub/linux/pcd/pcd-0.30.tar.gz にあります。