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1. イントロダクション

PPP(Point to Point Protocol)はシリアル接続上に IP(Internet Protocol)や その他のネットワークプロトコルを構築し、稼働させるための仕組みです。 PPP はヌルモデム経由の直結したシリアル接続や telnet 上、あるいはモデム と電話回線を経由した接続の上でも張ることが可能です。PPP を使えばあなた の Linux PC を PPP サーバに接続し、そのサーバが接続しているネットワー ク資源にあたかも(ほとんど)直接そのネットワークに接続しているかのように 使うことが可能になります。

また、あなたの Linux PC を PPP サーバとして設定すれば、他のコンピュー タから電話回線経由で接続し、あなたの Linux PC と/あるいは、ネットワー クにアクセスすることが可能です。

PPP は一対一の通信方式ですが、PPP を使って 2 台の Linux PC をつないで、 2 つのネットワークを接続すること(あるいはローカルネットワークをインター ネットに接続すること)も可能です。

PPP とイーサネット接続の大きな違いの一つはスピードです。標準的なイーサ ネット接続の理論的な最大転送速度は 10Mbps(一秒あたり百万ビット)ですが、 PPP の場合、最速のモデムでも 33.6kbps(1 秒あたり 1000 ビット)です。ま た、PPP 接続の形態によっては使えるアプリケーションやサービスに制限 が生じることもあります。

1.1 クライアントと使えるサービス

PPP は厳密な一対一のプロトコルです;すなわち、(技術的には)電話をかける 側のマシンと受ける側のマシンに違いはありません。しかしながら、話を分り やすくするためにサーバクライアントという区別を付け て使うことにします。

電話をかけて PPP 接続を確立する側のサイトをクライアントと呼び、 接続先のマシンをサーバと呼ぶことにします。

電話を受けて PPP 接続を用意する側の Linux マシンを設定する場合、PPP サーバを設定しているわけです。

全ての Linux PC は PPP のサーバにもクライアントにもなれます。複数のシ リアルポート(と必要ならばモデム)があれば、一台のマシンがサーバとクライ アントに同時になることも可能です。上述のように、PPP 接続が成立してしま えばクライアントとサーバの間には何の違いもありません。

この文書では電話をかける側のマシンをクライアントとし、電話を 受けて、(ユーザー ID やパスワード、あるいはその他の仕組みで)ユーザー認 証をする側のマシンをクライアントと呼ぶことにします。

ほとんどの人は、PPP をクライアント側で使い、インターネットに接続してい るマシンに接続することに興味をお持ちでしょう。その場合、彼らは PC をク ライアントとして使っているわけです。

この文書に説明している手順に従えば、インターネットに自動的に接続するこ とも可能になります。

加えて、Linux PC を PPPサーバとして設定する方法について解説し、 PPP を使って 2 つの LAN を(完全なルーティングで)接続する方法についても 説明します(これは WAN - Wide Area Network - 接続でよく見られる方法です)。

1.2 ディストリビューションごとの違い

世の中にはさまざまな Linux のディストリビューションがあり、それぞれに 独自の方法を持っています。

Linux(Unix) マシンを起動する際の設定方法と各種のインターフェイスの設定 方法には、大きく 2 つの方法があります。

一つはBSD スタイルの起動方法であり、もう一つはSystem V ス タイルの起動方法です。いくつかの Unix に関したニュースグループを ご覧になった方ならば、両者の間に時として起こる聖戦を見聞きしたこともあ るでしょう。その種の議論に興味があれば参加してみることも面白いかも知れ ません。

多分 Linux でもっとも広く使われているディストリビューションのうち、

BSD スタイルの起動方法では、起動用のファイルは /etc/... にあ り、以下のようなファイルになっています。


        /etc/rc
        /etc/rc.local
        /etc/rc.serial

System V スタイルの起動方法では、起動用のファイルは /etc/rc.d/... にあり、多くのサブディレクトリが用意されていま す。


drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul  6 15:12 init.d
-rwxr-xr-x   1 root     root         1776 Feb  9 05:01 rc
-rwxr-xr-x   1 root     root          820 Jan  2  1996 rc.local
-rwxr-xr-x   1 root     root         2567 Jul  5 20:30 rc.sysinit
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul  6 15:12 rc0.d
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul  6 15:12 rc1.d
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul  6 15:12 rc2.d
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul 18 18:07 rc3.d
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 May 27  1995 rc4.d
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul  6 15:12 rc5.d
drwxr-xr-x   2 root     root         1024 Jul  6 15:12 rc6.d

イーサネットインターフェイスやそれに関連するネットワークの経路制御がど のように設定されているかを調べるには、これらのファイルをチェックして、 実際にそれらを行なっているコマンドを見付ける必要があります。

いくつかの例では(例えば Red Hat と Caldera) X ウィンドウベースの PPP 設定ツールが付属している場合があります。しかしながら、この HOWTO では、 そのような特定のディストリビューションに依存したツールの説明はしません。 それらのツールで問題が生じた場合は、ディストリビューションの作成元に直 接尋ねてください。


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