以下のコマンドを kickstart ファイルの中に配置することができます。
システムに関する認証オプションをセットアップします。インストール後に実行することのできる authconfig コマンドと類似しています。デフォルトの場合、パスワードは通常で暗号化され、シャドウ化されません。
ユーザパスワードについては md5 暗号化を使用してください。
NIS サポートが有効になります。デフォルトの場合、--enablenis を指定するとネットワーク上で見つかる任意のドメインが使用されます。常にユーザ自身がドメインを指定する必要があります (--nisdomain を使用)。
NIS サービス用に使用する NIS ドメインの名前。
NIS サービス用に使用するサーバ (デフォルトではブロードキャスト)。
シャドウパスワードが使用されます。
新しいパーティションの作成に先立ってシステムからパーティションを削除します。デフォルトでは、どのパーティションも削除されません。
Linux (タイプ 0x82、0x83、および 0xfd [RAID]) パーティションが削除されます
システムのすべてのパーティションが削除されます。
ほとんどの PCI システムの場合、インストールプログラムはイーサネットカードおよび SCSI カードを自動的に正しく検出します。ただし、古いシステム、およびある種の PCI システムの場合、kickstart は適切なデバイスを検出するためのヒントを必要とします。device コマンドは Anaconda に対して、特別なモジュールをインストールするように指示します。形式は以下のものです。
device <type> <moduleName> --opts <options> |
<type> は [scsi] または [eth] のどちらかです。また、<moduleName> はインストールする必要のあるカーネルモジュールの名前です。
カーネルモジュールに渡すオプション。引用符で挟むと複数のオプションを渡すことができることを覚えておいてください。例えば、
--opts "aic152x=0x340 io=11" |
kickstart の実行時にドライバディスクを使用するには、ドライバディスクの内容をシステムのハードドライブパーティションのルートディレクトリにコピーし、driverdisk コマンドを使用してインストールプログラムにディスクの検索場所を伝えます。
driverdisk <partition> [--type <fstype>] |
<partition> はドライブディスクを含むパーティションです。
ファイルシステムのタイプ (例えば、VFAT または ext2)。
システムに対し、既存システムのアップグレードではなく、新規システムをインストールすることを伝えます。これがデフォルトのモードです。
実行する kickstart のタイプを指定するために、以下の 3 つのコマンドのいずれかを使用しなければなりません。
指定した NFS サーバからインストールします。
--server <server>
インストール元とするサーバ (ホスト名または IP)。
--dir <dir>
Red Hat のインストールツリーを含むディレクトリ。
例えば、
nfs --server <server> --dir <dir> |
システムの先頭 CD-ROM ドライブからインストールします。
例えば、
cdrom |
ローカルドライブ上の Red Hat インストールツリーからインストールします。VFAT または ext2 でなければなりません。
--partition <partition>
インストール元のパーティション (sdb2 など)。
--dir <dir>
Red Hat のインストールツリーを含むディレクトリ。
例えば、
harddrive --partition <partition> --dir <dir> |
システムのキーボードタイプを設定します。i386 マシンおよび Alpha マシン上で利用可能なキーボードの一覧は次のものです。
azerty, be-latin1, be2-latin1, fr-latin0, fr-latin1, fr-pc, fr, wangbe, ANSI-dvorak, dvorak-l, dvorak-r, dvorak, pc-dvorak-latin1, tr_f-latin5, trf, bg, cf, cz-lat2-prog, cz-lat2, defkeymap, defkeymap_V1.0, dk-latin1, dk. emacs, emacs2, es, fi-latin1, fi, gr-pc, gr, hebrew, hu101, is-latin1, it-ibm, it, it2, jp106, la-latin1, lt, lt.l4, nl, no-latin1, no, pc110, pl, pt-latin1, pt-old, ro, ru-cp1251, ru-ms, ru-yawerty, ru, ru1, ru2, ru_win, se-latin1, sk-prog-qwerty, sk-prog, sk-qwerty, tr_q-latin5, tralt, trf, trq, ua, uk, us, croat, cz-us-qwertz, de-latin1-nodeadkeys, de-latin1, de, fr_CH-latin1, fr_CH, hu, sg-latin1-lk450, sg-latin1, sg, sk-prog-qwertz, sk-qwertz, slovene |
SPARC マシン用の一覧は次のものです。
sun-pl-altgraph, sun-pl, sundvorak, sunkeymap, sunt4-es, sunt4-no-latin1, sunt5-cz-us, sunt5-de-latin1, sunt5-es, sunt5-fi-latin1, sunt5-fr-latin1, sunt5-ru, sunt5-uk, sunt5-us-cz |
インストールするシステムのデフォルトの言語を設定します。指定する言語は、システムのインストール中に、およびインストール後のシステムで言語固有の側面を設定する際に、使用されます。例えば、言語を [English] に設定するためには、kickstart ファイルに以下の行を組み込む必要があります。
lang en_US |
有効な言語コードは以下のものです。
cs_CZ, en_US, fr_FR, de_DE, hu_HU, is_IS, id_ID, it_IT, ja_JP.ujis, no_NO, pl_PL, ro_RO, sk_SK, sl_SI, es_MX, ru_RU.KOI8-R, uk_UA |
デフォルトでは、LILO は先頭ディスクの MBR にインストールされ、DOS パーティションが見つかった場合にはデュアルブートシステムが作成されます (ユーザが LILO: プロンプトに対して dos を入力すると DOS/Windows システムがブートされます)。
カーネルパラメータを指定します。
LILO の linear オプションを使用します。これは下位互換性のためにのみ存在します (現在 linear はデフォルトで使用されます)。
LILO ブートレコードを書き込む場所を指定します。有効な値は [mbr] (デフォルト)、 [partition] (カーネルを含むパーティションの先頭セクタにブートローダをインストールします)、または [none] (ブートローダはインストールされません) です。
これを指定すると、インストールプログラムは先頭ハードドライブの MBR 上に LILO があるか否かをチェックし、そこにあった場合にはシステムをリブートします。この場合インストールは実行されません。そうすることで kickstart はインストール済のシステムを再インストールしてしまうことを回避します。
マウスの設定を GUI モードまたはテキストモードで行います。オプションは以下のものです。
マウスの接続先デバイス (--device ttyS0 など)
これを指定すると、X Window System は右と左のマウスボタンが同時にクリックされた場合に中央のボタンをエミュレートします (2 ボタンマウスについて指定する必要があります)。
オプションの後ろに、マウスのタイプを以下のいずれかのようにして指定することができます。
alpsps/2, ascii, asciips/2, atibm, generic, generic3, genericps/2, generic3ps/2, geniusnm, geniusnmps/2, geniusnsps/2, thinking, thinkingps/2, logitech, logitechcc, logibm, logimman, logimmanps/2, logimman+, logimman+ps/2, microsoft, msnew, msintelli, msintellips/2, msbm, mousesystems, mmseries, mmhittab, sun, none |
引数なしで mouse コマンドを指定した、または mouse コマンドを省略した場合、インストールプログラムはマウスの自動検出を試みます (最近のマウスであればほとんどは検出されます)。
システムのネットワーク情報を設定します。これを指定しない場合、かつ kickstart インストールでネットワークが必要ない (つまり、NFS 経由のインストールではない) 場合、ネットワークは設定されません。インストールでネットワークが必要となる場合は、 Anaconda は動的 IP アドレス (BOOTP/DHCP) を使用した eth0 経由でインストールが実行されるものと見なし、最終的にインストールされたシステムで IP アドレスが動的に決定されるように設定します。network コマンドは、ネットワーク kickstart のためのネットワーク情報と、最終的にインストールされたシステムのためのネットワーク情報を設定するものです。
[dhcp]、[bootp]、または [static] のいずれか(デフォルト値は [DHCP] であり、[dhcp] と [bootp] は同じものとして扱われます)。静的な IP 情報を使用するためには、[static] でなければなりません。
インストール先マシンの IP アドレス。
デフォルトゲートウェイの IP アドレス。
プライマリネームサーバ の IP アドレス。
インストールされるシステムのネットマスク。
ネットワーク設定には 3 種類の手段があります。
DHCP
BOOTP
静的アドレス
DHCP を使用する方法では、DHCP サーバシステムを使用してネットワーク設定情報を取得します。お気づきのとおり、BOOTP を使用する方法も同様であり、ネットワーク設定情報を提供するのに BOOTP サーバが必要になります。
静的アドレスを使用する方法では、必要なネットワーク情報のすべてを kickstart ファイルに記述しておく必要があります。名前からも分かるようにこの情報は静的であり、またインストール時およびインストール後にも使用されることになります。
システムに対して、DHCP を使用してネットワーク設定情報を取得するように指示するには、以下の行を使用します。
network --bootproto dhcp |
マシンに対して、BOOTP を使用してネットワーク設定情報を取得するように指示するには、kickstart ファイルで以下の行を使用します。
network --bootproto bootp |
ネットワーク設定情報のすべてを一行に記述しなければならないので、静的ネットワーク設定用の行はもっと複雑になります。以下を指定する必要があります。
IP アドレス
ネットマスク
ゲートウェイ IP アドレス
ネームサーバ IP アドレス
静的な設定の例を以下に示します。
alpsps/2, ascii, asciips/2, atibm, generic, generic3, genericps/2, generic3ps/2, geniusnm, geniusnmps/2, geniusnsps/2, thinking, thinkingps/2, logitech, logitechcc, logibm, logimman, logimmanps/2, logimman+, logimman+ps/2, microsoft, msnew, msintelli, msintellips/2, msbm, mousesystems, mmseries, mmhittab, sun, none |
注意: | |
---|---|
すべてのnetwork の設定情報を必ず一行の中に指定してください。上記の例では読みやすいように折り返して表示しています。 |
静的アドレスを使用する方法では、2 つの制約があることを念頭に置かなければなりません。
静的なネットワーク設定情報のすべてを 1 つの行の中で指定しなければなりません。例えば、バックスラッシュによって改行するようなことはできません。
ここではネームサーバを 1 つしか指定できません。ただし、必要であれば kickstart ファイルの %post セクション (「 %post -- インストール後の設定セクション 」を参照) を使用してネームサーバを追加することができます。
システムにパーティションを作成します。パーティション作成の指定は以下の形式です。
part <mntpoint> --size <size> [--grow] [--onpart <partc>] [--ondisk <disk>] |
<mntpoint> はパーティションのマウント位置であり、以下のいずれかの形式でなければなりません。
(すなわち /、/usr、/home)
このパーティションはスワップ領域として使用されます。
このパーティションはソフトウェア RAID 用に使用されます (後述のraid コマンドを参照してください)。
パーティションの最小サイズを設定します。
利用可能領域いっぱいまで (存在する場合) パーティションを拡張するように指示します。
インストールプログラムに対して、パーティションを既存のデバイス <part> 上に配置するように指示します。例えば、partition /home --onpart hda1 と指定すると /home が /dev/hda1 上に配置されますが、このデバイスはすでに存在するものでなければなりません。
特定のディスク上に強制的にパーティションを作成します。例えば、--ondisk sdb と指定すると、パーティションはシステムの 2 番目のディスク上に作成されます。
作成されたすべてのパーティションのフォーマットは、インストールプロセスの一部として実行されます。
ソフトウェア RAID デバイスを構成します。このコマンドは以下の形式です。
raid <mntpoint> --level <level> --device <mddevice><partitions*> |
<mntpoint> は RAID ファイルシステムをマウントする位置です。これを / とした場合は、RAID レベルは 1 でなければなりません。/boot パーティションがレベル 1 であるブートパーティション (/boot) が存在し、かつルート (/) パーティションをどの利用可能なタイプにもすることができる場合を除きます。<partitions*> (複数パーティションを列挙できることを表します) には RAID アレイに追加する RAID 識別子を列挙します。
使用する RAID レベル (0、1、または 5)。
使用する RAID デバイスの名前 (md0 または m1 など)。RAID デバイスの範囲は md0 から md7 までであり、それぞれは一度だけ使用することができます。
/ に RAID レベル 1 のパーティション、/usr に RAID レベル 5 パーティションを作成する方法の例を以下に示します。このシステムには 3 個の SCSI ディスクがあるものとします。また、各ドライブ上に swap パーティションを 1 つずつ、計 3 個作成します。
part raid.01 --size 60 --ondisk sda part raid.02 --size 60 --ondisk sdb part raid.03 --size 60 --ondisk sdc |
part swap --size 128 --ondisk sda part swap --size 128 --ondisk sdb part swap --size 128 --ondisk sdc |
part raid.11 --size 1 --grow --ondisk sda part raid.12 --size 1 --grow --ondisk sdb part raid.13 --size 1 --grow --ondisk sdc |
raid / --level 1 --device md0 raid.01 raid.02 raid.03 raid /usr --level 5 --device md1 raid.11 raid.12 raid.13 |
インストールの完了後にリブートします (引数はありません)。通常、kickstart はメッセージを表示した後で、リブートする前にユーザがキーを押すのを待ちます。
使用法:rootpw [--iscrypted] <password>
システムの root パスワードを <password> 引数に設定します。
これを設定すると、password 引数はすでに暗号化されているものと見なされます。
これを指定すると、インストールされるシステム上で X は設定されません。
timezone [--utc] <timezone>
システムのタイムゾーンを <timezone> に設定します。「timeconfig」 の中にリストされた任意のタイムゾーンを使用することができます。
これを指定すると、ハードウェアクロックが UTC (グリニッジ標準) 時間に合わせて設定されているものと見なされます。
システムに対し、新規システムのインストールではなく、既存システムのアップグレードを行うことを指示します。
X Windows System を設定します。このオプションを指定しないと、X がインストールされている場合、ユーザはインストール中に手動で X を設定する必要があります。最終的に X をシステムにインストールしない場合は、このオプションを使用する必要はありません。
モニタの検証を行いません。
カード <card> を使用します。このカードの名前は、Xconfigurator のカード一覧に含まれるものである必要があります。この引数を指定しない場合、Anaconda は PCI バスのカードを検証します。
モニタ <mon> を使用します。このモニタの名前は、Xconfigurator のモニタ一覧に含まれるものである必要があります。この引数は、--hsync または --vsync を指定した場合には無視されます。モニタ情報を指定しないと、モニタはプラグアンドプレイを通じて検証されます。
モニタの水平同期周波数を指定します。
モニタの垂直同期周波数を指定します。
インストール後のシステムでグラフィカル ログイン (ランレベル 5) を使用します。
「zerombr」 を指定し、「yes」 を唯一の引数として指定すると、ディスク上にある不整なパーティションテーブルをすべて初期化します。その場合、不整なパーティションテーブルと共にディスクのパーティション情報はすべて破棄されます。このコマンドの使用法を以下に示します。
zerombr yes
その他の書式は無効です。
インストールするパッケージを列挙するための kickstart ファイルのセクションを開始するには、%packages コマンドを使用します (これはインストール専用です。アップグレード中のパッケージ選択はサポートされていません)。
コンポーネントまたは個々のパッケージ名を使用することで、パッケージを指定することができます。インストールプログラムは、関連するパッケージをグループにしたいくつかのコンポーネントを定義しています。コンポーネントの一覧については、Red Hat Linux CD-ROM 上の RedHat/base/comps ファイルを参照してください。コンポーネントを定義している行では、最初に番号、次に空白、その次にコンポーネント名が指定されています。次に、コンポーネントに含まれる各パッケージが行ごとに列挙されています。個々のパッケージについては、コンポーネントの行の先頭に指定された番号は付いていません。
その他に、comps ファイルには、以下の 3 つのタイプの行が見つかるかもしれません。
パッケージ名がアーキテクチャタイプで始まる場合は、アーキテクチャ名部分ではなくパッケージ名部分を入力するだけでかまいません。例えば、
i386: netscape-common という特定パッケージをインストールするには、netscape-common の部分を使用するだけでかまいません。
? で始まる行は、インストールプログラムに固有のものです。このタイプの行については、何もする必要はありません。
パッケージ名が --hide で始まる場合は、--hide を取り除いたパッケージ名部分を入力するだけでかまいません。例えば、
--hide KDE Workstation という特定パッケージをインストールするには、KDE Workstation の部分のみを使用するだけでかまいません。
ほとんどの場合、目的のコンポーネントをリストすることが必要であり、個々のパッケージをリストする必要はありません。Base コンポーネントは常にデフォルトで選択されるので、%packages セクションで指定する必要がないことに注意してください。
以下に %packages 選択の例を示します。
%packages @ Networked Workstation @ C Development @ Web Server @ X Window System bsd-games |
ご覧のとおり、一行に 1 つのコンポーネントが指定されています。comps ファイルで指定していたのと同様に、各行は @ 記号で始まり、その後に空白と完全なコンポーネント名が続いています。個別のパッケージを指定する場合は文字を付加しません (上記例の bsd-games の行が個別のパッケージです)。
注意: | |
---|---|
Kickstart インストールプログラムに対して、ワークステーションクラスおよびサーバクラスを使用するように指示することもできます。そうするには、単に以下の行のいずれか 1 つを%packages セクションに追加します。 |
@ Gnome Workstation @ KDE Workstation @ Server |
インストールの完了後にシステム上で実行させるコマンドを追加するというオプションがあります。このセクションは必ず kickstart ファイルの末尾に、 %post コマンドで始まるように記述します。%post セクションではネットワークにアクセスできることに注意してください。ただし、この時点では nameservice が設定されていないので、機能するのは IP アドレスのみになります。以下に %post セクションの例を示します。
%post # add comment to /etc/motd echo "Kickstart-installed Red Hat Linux `/bin/date`" > /etc/motd # add another nameserver echo "nameserver 10.10.0.2" >> /etc/resolv.conf |
このセクションでは、kickstart インストールが実行された日付を含む message-of-the-day ファイルを作成し、/etc/resolv.conf に別のネームサーバを追加することによって network コマンドでは 「ひとつのネームサーバのみ」 しか設定できないという制限を回避します。
注意: | |
---|---|
インストール後の設定スクリプトは chroot された環境で実行されることに注意してください。したがって、インストール媒体からスクリプトや RPM をコピーするなどの作業を実行することはできません。 |
これを指定すると、chroot された環境の外で実行したいコマンドを指定することができます。